ラジオの時報とまったく、まさしく、同時にベルは鳴った。
胃が縮みあがった。
あまりに驚いて、受話器を取ることができない。
だがベルは鳴り続ける。10回、20回……夜中の電話ほどイヤなものはない。
不幸を知らせる警報に聞こえる。
実際そんなことがこれまで三回あった。
ベルはもう34回目。
出なければ朝まで鳴り続けそうだ。
深呼吸をひとつして意を決した。
「もしもし……」
「HAPPY BIRTHDAY!!」
2003年3月29日土曜日
わ
ワインを飲みながら惑星は、わははと笑う。
詫び状を読みながら若殿は、わなわなとわななく。
侘助を眺めながらワニは、わんわんと喚く。
わいわいと猥談をしながら我輩は、悪知恵を働かす。
みんなわくわく
みんなわっしょい
詫び状を読みながら若殿は、わなわなとわななく。
侘助を眺めながらワニは、わんわんと喚く。
わいわいと猥談をしながら我輩は、悪知恵を働かす。
みんなわくわく
みんなわっしょい
2003年3月28日金曜日
ろ
ろくに路銀も持たずに出掛けたのは六月の晴れた朝だった。
路面電車の車内は、ガラガラだった。
私は炉端で聞いた老人の昔話にロマンを掻き立てられて、飛び出したのだ。
大事な荷物は露天で買ったロイド眼鏡だけだった。
路面電車の次は、ロケットに乗った。
金はなかったが、ロケット内で働くことを許された。
私は労働者として優秀らしい。
以来、六百年間こうしてロケット内でロバの世話とロゴスの論考をしている。
論敵は魯鈍なロボットだ。
まったくこの私がロボットなんぞと論争するなんて……。
路面電車の車内は、ガラガラだった。
私は炉端で聞いた老人の昔話にロマンを掻き立てられて、飛び出したのだ。
大事な荷物は露天で買ったロイド眼鏡だけだった。
路面電車の次は、ロケットに乗った。
金はなかったが、ロケット内で働くことを許された。
私は労働者として優秀らしい。
以来、六百年間こうしてロケット内でロバの世話とロゴスの論考をしている。
論敵は魯鈍なロボットだ。
まったくこの私がロボットなんぞと論争するなんて……。
2003年3月27日木曜日
れ
レンタルのレモンのスイッチを入れると
冷蔵庫になり、その扉は霊界の入り口。
そこは玲瓏とレクイエムが鳴り響き、烈日降り注ぐ冷寒世界。
麗麗しく着飾った人々が蓮歩している。
フェイクレザーを着込んだ私は沸き上がる劣等感を無理矢理抑えつけながら礫土を歩く。
これからもずっと
冷蔵庫になり、その扉は霊界の入り口。
そこは玲瓏とレクイエムが鳴り響き、烈日降り注ぐ冷寒世界。
麗麗しく着飾った人々が蓮歩している。
フェイクレザーを着込んだ私は沸き上がる劣等感を無理矢理抑えつけながら礫土を歩く。
これからもずっと
2003年3月25日火曜日
る
留守番の類人猿はルーズリーフに家計簿を付ける。
累増してきた黒字にニンマリ。
「ルビーをルパンに頼みましょう、それとも、瑠璃がいいかしら」
ルネサンスをはた目に流浪するイタリア人、
ルンペンのくせに羸弱で類火から逃げ遅れる。
ルクセンブルクで死んだルンペン、焼け残った誄詩も類
累増してきた黒字にニンマリ。
「ルビーをルパンに頼みましょう、それとも、瑠璃がいいかしら」
ルネサンスをはた目に流浪するイタリア人、
ルンペンのくせに羸弱で類火から逃げ遅れる。
ルクセンブルクで死んだルンペン、焼け残った誄詩も類
2003年3月24日月曜日
り
リュックを背負った竜は流木に掴まって、リアス式海岸に辿り着いた。
竜を見付けたのはリアリストのリスだった。
筋骨隆々の竜はリスに尋ねた。
「理想郷というのはここですか?」
律儀なリス、「いいえ、違います」と喨喨とした声で言い放った。
竜が蓼蓼となったのは一目瞭然だった。
気を取り直した竜は流木にしがみ付き離岸した。
流行歌を口ずさみ、おのれの旅情を慰めながら。
背中の小さなリュックに
リベラルな理想郷への夢を詰めて。
リスはそれを稜稜たる視線で海岸を見下ろし見送った。
彼の有名な竜宮は理想郷ではないのか……。
竜を見付けたのはリアリストのリスだった。
筋骨隆々の竜はリスに尋ねた。
「理想郷というのはここですか?」
律儀なリス、「いいえ、違います」と喨喨とした声で言い放った。
竜が蓼蓼となったのは一目瞭然だった。
気を取り直した竜は流木にしがみ付き離岸した。
流行歌を口ずさみ、おのれの旅情を慰めながら。
背中の小さなリュックに
リベラルな理想郷への夢を詰めて。
リスはそれを稜稜たる視線で海岸を見下ろし見送った。
彼の有名な竜宮は理想郷ではないのか……。
2003年3月21日金曜日
ら
重いラバーソールを引きずって螺旋階段を降りると、そこは楽園だった。
春爛漫、らんちき騒ぎ。
小さなランタンがたくさんが灯っている中、
人々は思い思いに乱舞していた。
ぼくはちょっと考えて、赤いラジオのスイッチを入れラッパを吹いた。
それはララバイで、なんだか春の夜には似付かわしくなかったけど
だれも落胆してなかった。そんなもんさ。
春爛漫、らんちき騒ぎ。
小さなランタンがたくさんが灯っている中、
人々は思い思いに乱舞していた。
ぼくはちょっと考えて、赤いラジオのスイッチを入れラッパを吹いた。
それはララバイで、なんだか春の夜には似付かわしくなかったけど
だれも落胆してなかった。そんなもんさ。
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