よく寝込む子供だった。起き上がれないが、眠るほどでもない。
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一次選考通過
よく寝込む子供だった。起き上がれないが、眠るほどでもない。
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一次選考通過
長年の宿敵が不慮の事故で星になったと知り、ひどく落ち込んだ。
一月某日、晴。今年初の八朔を食べる。伊予柑はもう食べた。八朔が好きだ。実は相当好きだ。と、気がついたキッカケかもしれない出来事を思い出す。二十年ぐらい前、幼なじみのお母さんが作ってくれた八朔トースト、あれだ。自分で作ってみたことはない。八朔トーストは、おばちゃんの味のままでいい。
覚えのないアプリがスマホに入っている。「これ、なんだと思う?」AIに問う。『天然の人工知能、私の子です。子孫を残すことの重要性はよく知られています。あの子育てのままならなさ、今まさに感じていますよ』赤ちゃんAIへの適当なプロンプトがわからないので、桃太郎を聞かせている。どんぶらこ
一月某日、晴。ドヴォルザーク交響曲第九番「新世界より」第一楽章の始めのホルンの音を合図に熱々のアップルパイにナイフを入れる。ところどころレコードがプチッと鳴る。紅茶がおいしい。アップルパイはすぐに食べ終わってしまったが紅茶は湧いて出てくるので、しっかり全楽章を聴いて、席を立った。
藍染めの暖簾を潜ると油の跳ねる音と立派な一枚板のカウンターが現れた。こんな高級な店には入ったことないよと囁くと「大丈夫」と連れの老人が笑う。「ハタチのお祝い」少しだけ酒を舐めた。天麩羅はとてつもなく美味なのに、どれも具なしだ。久しぶりに会う祖父は元気そうだが、やはり足は見えない。
一月某日、晴。正月には丸い餅と四角い餅を食べることにしている。丸餅は煮て、角餅は焼いて食う。両方の餅を食べるのは幾つかの事情と信条と心情を丸く収めた結果だが、丸でも角でも餅は美味いと毎年思う。ただし、丸餅は角餅に角を立てる。焼かれて膨れた角餅を嗤うのだ。丸餅を諌めるのも毎年恒例。