超短編
点眼薬がバス停に落ちていたので、停車するバスのヘッドライトに点眼して日頃の運行を労いたい。(45字)
記憶に固執しないため、フニャフニャのカレンダーとグニャグニャの時計を壁に掛けて、ドーナッツを6個食べたい。(53字)
箸やフォークが当たると音楽が鳴るように、 世界中の丸くて平たい皿にこっそりと細い溝を切りたい。(46字)
唐草文様を指でなぞっていたら、いつの間にか本当に蔓草がそこらじゅうを這い回っているから、蔓の根本を探す旅に出たい。(57字)
ラムネ瓶のビー玉になって、どこかの子供に飲み干された後は、淡い青緑に歪んだ世界を只管黙って眺めていたい。(52字)
秋になったら広大なススキ野原に行って、一晩掛け、穂を束ねて結わいて、木莵だらけにしたい。(44字)
恋仲になった書家が送って寄越す手紙から流麗に立ち上る文字と、夜な夜なしとどに戯れたい。(43字)