夜になるのが待ち遠しかった。
寂しい道化師もめずらしく自分から遊びにきてそわそわしている。
そう、今夜は花火が上がるのだ。
日が沈むのに合わせ、ぼくたちは黒猫の塔のてっぺんに上がった。
特等席だ!
高いのが怖い小父さんも、ぼくや道化師の誘いに負けてやってきた。
ヒュー ドーン
一発目を合図に次々と色とりどりの花火が満月の真下で開く。
小父さんは「ドーン」のたびにビクッとしている。
そしてひときわ大きな花火のひときわ大きな「ドーン」と同時に
真上の満月は三角形になった。
小父さんは、と言うと 気絶していた。
2003年8月11日月曜日
2003年8月10日日曜日
2003年8月9日土曜日
土星が三つできた話
今夜は仮装パレードだ。
ぼくはずっと前から土星になろうと決めていた。
ずいぶん苦労して頭にかぶる輪っかを作ったんだ。
通りに出ると仮装した人でいっぱいだった。
「あ」
「どうした?」
ピーナツ売りはマジシャンの格好だ。
いつも手品をやってるから仮装ではないような気もするけど。
「あの人見て」
少し前を歩いている背の高い男の人がぼくと同じような輪っかを頭につけていた。
とても目立ってる。
「いやー」
ぼくのすぐ後ろで小さい子の泣き声がして振り向いた。
その子も輪っかをかぶっている。
ぼくとおそろいなのがお気に召さないらしい。
やれやれ土星が三つだ。
でも、月の仮装をした人は28人もいたんだ。
あちこちお月さんだらけでピーナツ売りは大笑いだった。
でもこのことは小父さんには内緒。
ぼくはずっと前から土星になろうと決めていた。
ずいぶん苦労して頭にかぶる輪っかを作ったんだ。
通りに出ると仮装した人でいっぱいだった。
「あ」
「どうした?」
ピーナツ売りはマジシャンの格好だ。
いつも手品をやってるから仮装ではないような気もするけど。
「あの人見て」
少し前を歩いている背の高い男の人がぼくと同じような輪っかを頭につけていた。
とても目立ってる。
「いやー」
ぼくのすぐ後ろで小さい子の泣き声がして振り向いた。
その子も輪っかをかぶっている。
ぼくとおそろいなのがお気に召さないらしい。
やれやれ土星が三つだ。
でも、月の仮装をした人は28人もいたんだ。
あちこちお月さんだらけでピーナツ売りは大笑いだった。
でもこのことは小父さんには内緒。
2003年8月6日水曜日
2003年8月4日月曜日
月夜のプロージット
「乾杯!」
ぼくたちは、夜風の中、乾杯した。星の降り積もった廃ビルの屋上で。
ぼくはハッカ水、小父さんはジンジャーハッカ水。
ピーナツ売りはビールで、寂しい道化師はアイスレモンティー。
ひょっこりついてきた、ねこのトーマにもミルクをやった。
ピーナツ売りが、それはそれはたくさんのピーナツを持ってきたのでツマミの心配はない。
「はたしてお月さん、今夜の乾杯のわけをお聞かせ願いましょう」
ピーナツ売りがまじめに聞いた。
そう、ぼくやピーナツ売りや道化師(と、ねこのトーマ)は誘われるまま、ここに集まったのだ。
小父さんは気取ってこう答えた。
「まだわからないのかね、諸君。見よ、こんなにも月が美しい!」
ぼくたちは、夜風の中、乾杯した。星の降り積もった廃ビルの屋上で。
ぼくはハッカ水、小父さんはジンジャーハッカ水。
ピーナツ売りはビールで、寂しい道化師はアイスレモンティー。
ひょっこりついてきた、ねこのトーマにもミルクをやった。
ピーナツ売りが、それはそれはたくさんのピーナツを持ってきたのでツマミの心配はない。
「はたしてお月さん、今夜の乾杯のわけをお聞かせ願いましょう」
ピーナツ売りがまじめに聞いた。
そう、ぼくやピーナツ売りや道化師(と、ねこのトーマ)は誘われるまま、ここに集まったのだ。
小父さんは気取ってこう答えた。
「まだわからないのかね、諸君。見よ、こんなにも月が美しい!」
2003年8月3日日曜日
2003年8月1日金曜日
A ROC ON A PAVEMENT
石が落ちていた。
不自然なくらいまんまるなそれをそっと拾い上げた。
ぼくはすぐに気づいたのだ。
小父さんの石によく似ている、と。
ぼくは小父さんではなく、フクロウにその石を見せることにした。
なんとなく、小父さんに見せるのは気が引けたから。
{これは・・・火星であろう}
「火星!」
{おそらく近くまで来たついでに散歩でもしているのであろう}
「返さなきゃ!」
火星はまだ見つからないので、チラシを作った。
[尋ね人Mr.MARSMANー丸き もの、当方で確かに預かりし。
すみやかに取りに来らるるべし]
不自然なくらいまんまるなそれをそっと拾い上げた。
ぼくはすぐに気づいたのだ。
小父さんの石によく似ている、と。
ぼくは小父さんではなく、フクロウにその石を見せることにした。
なんとなく、小父さんに見せるのは気が引けたから。
{これは・・・火星であろう}
「火星!」
{おそらく近くまで来たついでに散歩でもしているのであろう}
「返さなきゃ!」
火星はまだ見つからないので、チラシを作った。
[尋ね人Mr.MARSMANー丸き もの、当方で確かに預かりし。
すみやかに取りに来らるるべし]
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