超短編
八月某日、雨のち晴。これまで包丁一本で暮らしてきたが、小さい包丁を台所に加えた。果物を食べるようになったからだ。一昨年の初秋、鼻を盗まれた。二週間ほどで鼻は戻ってきたが、鼻のない間も果物だけは変わらず美味しく食べられた。鼻を盗んだ泥棒は最近も暗中飛躍しているようだ。用心せねば。