2025年8月29日金曜日

暮らしの140字小説32

八月某日、晴。近くの家に葡萄が生っていた。空家になって久しいらしく鬱蒼としているが葡萄は勝手に生えたものではないだろう。十年もこの道を日々歩いているのに初めて葡萄に目が留まった。一体、何を見て歩いてきたのだろう。葡萄は色付いている粒もまだ青いのもあった。伸びかけた手を引っ込める。