2003年8月9日土曜日

土星が三つできた話

今夜は仮装パレードだ。
ぼくはずっと前から土星になろうと決めていた。
ずいぶん苦労して頭にかぶる輪っかを作ったんだ。
通りに出ると仮装した人でいっぱいだった。
「あ」
「どうした?」
ピーナツ売りはマジシャンの格好だ。
いつも手品をやってるから仮装ではないような気もするけど。
「あの人見て」
少し前を歩いている背の高い男の人がぼくと同じような輪っかを頭につけていた。
とても目立ってる。
「いやー」
ぼくのすぐ後ろで小さい子の泣き声がして振り向いた。
その子も輪っかをかぶっている。
ぼくとおそろいなのがお気に召さないらしい。
やれやれ土星が三つだ。
でも、月の仮装をした人は28人もいたんだ。
あちこちお月さんだらけでピーナツ売りは大笑いだった。
でもこのことは小父さんには内緒。