2003年8月16日土曜日

どうして彼は喫煙家になったか

「それ、何の香り?」
「ん?キャラメルだな」
小父さんの煙草はピーナツ売りの特製だ。
タバコの葉は入ってないから本当は煙草じゃないんだけど。

次の日ぼくは、ピーナツ売りのところに手品を習いに行った。
「小父さんはなんであんな煙草吸うのかな」
「お月さんは、甘党なのさ。
こっちにいるときは香りだけでも始終味わっていたいんだよ」
「ふーん。でも、それなら食べればいいのに」
ピーナツ売りは笑って言った。
「そのうち煙草の作り方も教えてやらなきゃならんな。
背があと10センチ伸びたら教えてやる。手品より難しいぞ」