二人の女が喧嘩をしている。
彼女たちは、とても理にかなった理由で喧嘩をしているらしいのだが、私にわからない言語で喧嘩をしている。
二人はそれぞれ、同じ作者の、違う小説の本を、大事そうに抱えている。
二人は、今度は私に分かる言葉で、どれだけその小説が素晴らしいかを語り、そしてまた私にはわからない言語で言い争い、涙を流し、そして雨の中を傘も差さずに出ていった。
へんくつ窟は、洞窟のくせに扉があって「ごめんください」と入らなければならない。
へんくつ窟の壁は、モザイクタイルで埋め尽くされている。
へんくつ窟には、巨大蝙蝠が暮らしていて、訪れる時には手土産がなければならない。
へんくつ窟の巨大蝙蝠への手土産は、よく熟れたパパイヤを38個でなければならない。
へんくつ窟から出るときには、次の訪問日時を正確に約束しなければならない。
へんくつ窟の巨大蝙蝠は「もう来なくていい」と必ず言うが、その言葉を信じてはいけない。
堕天使の罪を一晩中聞き続ける夢を見た。
堕天使の翼が白くなってゆくにしたがって私の髪も白くなっていくのだった。
もうこれ以上聞いていては虹彩まで白くなってしまう、というところで目が覚めた。
鴉がこちらを見ている。