夜の空中散歩は静かだ。あのうるさい鴉もねんねの時間だし、ジャンボジェットだって少しは遠慮するのかおとなしく通り過ぎる。
ぼくはペダルをキコキコ漕いで馴染みの箒星を訪ねる。自転車に翼をくっつけただけの乗り物に乗って、よくここまで来られるねぇ、と箒星たちは笑う。
けれど、僕が飛行秤をリュックサックから取り出すと、箒星たちはそわそわし始めるんだ。
飛行秤は質量ではなくて、箒星の箒の美しさを計測する、と箒星は思っている。本当のところはよくわからない。
僕がイリジウムの分銅を飛行秤の左の皿に置くと、箒星は神妙な顔で右の皿に腰掛ける。飛行秤が揺れる。箒星の箒もさらさらと揺れる。僕はこの瞬間が一番美しいと思う。
ジョアン・ミロの絵のタイトルより
2009年2月7日土曜日
見えない扉
「呪文? 知らないよ」
少女と尻尾を切られた黒猫は往来の真ん中で動けなくなっていた。何もないのに、前に進むことができないのだ。
〔見えない扉を開ける呪文だ〕
「ナンナルに聞けばわかるかな」
〔そんな暇はない〕
少女の手の中の尻尾がやおら動きだした。
尻尾は見えない扉をゆっくりと撫で回し、止まった。
〔キナリ、ここが鍵穴だ〕
「でも、鍵は」
〔ポケットに。さっき拾ったろう〕
少女がビールの王冠を尻尾の指し示す鍵穴に入れる。急いで見えない扉を通る。
ズン、と扉が閉まる音で辺りが揺れた。
「後から来る人が困っちゃうね」
黒猫は黙っていた。見えない扉は黒猫と少女の前にしか現れないことを。
少女と尻尾を切られた黒猫は往来の真ん中で動けなくなっていた。何もないのに、前に進むことができないのだ。
〔見えない扉を開ける呪文だ〕
「ナンナルに聞けばわかるかな」
〔そんな暇はない〕
少女の手の中の尻尾がやおら動きだした。
尻尾は見えない扉をゆっくりと撫で回し、止まった。
〔キナリ、ここが鍵穴だ〕
「でも、鍵は」
〔ポケットに。さっき拾ったろう〕
少女がビールの王冠を尻尾の指し示す鍵穴に入れる。急いで見えない扉を通る。
ズン、と扉が閉まる音で辺りが揺れた。
「後から来る人が困っちゃうね」
黒猫は黙っていた。見えない扉は黒猫と少女の前にしか現れないことを。
2009年2月6日金曜日
水浪漫
ブナの森。地面にぽっかりと穴が開いている。
そこは、誰も知らないくらいに森の奥で、村で一番足の速いテトだけが辿り着ける場所。
穴を覗き込んでも、何も見えやしない。ただ、水の気配がする。耳を澄まし、地面に手を当てる。水は流れている。穏やかに、だが勢いは強い。
森の下は湖なのだ。ブナの樹が浄めた水、ブナの樹を守る水がこの下に集まり、地下湖となっているに違いない。
どこまでも澄んだ水はこの穴から僅かに射す日の光や月の光で輝いているだろう、澱みを知らぬ水の中で泳ぎたい、いつまでも永遠に。テトは夢想する。
ここのところ、テトは毎日のように穴へやってきていた。仕事もせずにどこへ行くのだと父や仲間に厳しく責められても、答えなかった。きっと睨んで森の中へ走り去る。誰も追いかけてこない。追い付けないから。
穴の直径はテトがなんとか飛び込めるくらいの大きさだ。近頃、とみに大きくなっているテトだから、あと何ヵ月かしたら、穴に入ることはできなくなるだろう。
「行くなら、今だ」
テトは服を脱ぐ。ブナの葉が優しくした日の光が、テトの幼さの残るしなやかな肉体を照らす。
胸の前で手を合わせ、ゆっくりと息を吸った――。
テトが上げた飛沫と水音の美しさは、ブナの樹たちだけが知っている。
そこは、誰も知らないくらいに森の奥で、村で一番足の速いテトだけが辿り着ける場所。
穴を覗き込んでも、何も見えやしない。ただ、水の気配がする。耳を澄まし、地面に手を当てる。水は流れている。穏やかに、だが勢いは強い。
森の下は湖なのだ。ブナの樹が浄めた水、ブナの樹を守る水がこの下に集まり、地下湖となっているに違いない。
どこまでも澄んだ水はこの穴から僅かに射す日の光や月の光で輝いているだろう、澱みを知らぬ水の中で泳ぎたい、いつまでも永遠に。テトは夢想する。
ここのところ、テトは毎日のように穴へやってきていた。仕事もせずにどこへ行くのだと父や仲間に厳しく責められても、答えなかった。きっと睨んで森の中へ走り去る。誰も追いかけてこない。追い付けないから。
穴の直径はテトがなんとか飛び込めるくらいの大きさだ。近頃、とみに大きくなっているテトだから、あと何ヵ月かしたら、穴に入ることはできなくなるだろう。
「行くなら、今だ」
テトは服を脱ぐ。ブナの葉が優しくした日の光が、テトの幼さの残るしなやかな肉体を照らす。
胸の前で手を合わせ、ゆっくりと息を吸った――。
テトが上げた飛沫と水音の美しさは、ブナの樹たちだけが知っている。
2009年2月5日木曜日
春。芽生えの季節
「春だよ。悠介、起きて」
乱暴に身体を揺すられている。そんなに急に起こすな。俺様は今、長い眠りから目覚めるのだ。恭しく起こせ。それから、春眠暁を覚えず、という言葉を教えてやらなきゃいかんな。
薄目を開けると、飛び込んで来たのは春菜の心配そうな顔だった。こんなに近くで春菜の顔を見るのは一年振りだな。でも、ちょっと、唇近すぎだ……。
今、俺のベッドを覗き込んでいる春菜は、隣の山岸さんの長女で、要するに幼なじみだ。俺とはぴったり四ヶ月違いの十六歳。ずっと一緒にいたから、春菜がかわいいかどうかなんて、よくわからない。ただ、近頃、クラスの奴に「春菜ちゃんを紹介しろよ」なんて言われると、ちょっと、いや、大分腹が立つ。
どういうわけだか、俺は生まれつき冬眠をする。気温が低くなり、最低気温が五度を下回ったあたりから、身体が言うことを聞かなくなる。冬日、つまり最低気温が零度を下回ると、もう完全にアウト。問答無用に昏々と眠り続けることとなる。学校に行くなんてもってのほか、飯もトイレも無しに、ただひたすら眠り続ける。そんなわけで、日本海側に住んでいるくせに一度もスキーもスノボもしたことがないのが密かなコンプレックス。
初めて俺が冬に眠りこけていた時、お袋は相当心配したらしい。いくら寝るのが仕事の赤ん坊でも、ミルクも飲まず、おしめを換える必要もなく、ただただ眠っているのだから、そりゃあ心配するのも当然だろう。おまけにその冬はやたら寒くて、ほとんど冬の間中寝ていたようだ。雪の中、眠る俺を抱きかかえて何軒も病院を回ったが、どこでも「寝る子は育つ」と一蹴されてしまったそうだ。身長が一八七センチもある今じゃ、笑い話だ。もちろんお袋は、すっかり俺の冬眠にも慣れて
「寒くなってきたわねえ。悠介、そろそろ寝ないの? あんたが寝てる間、食費が浮いて楽なのよね。どうせ雪降ろしも手伝わないんだから、寝るならさっさと寝ちゃいなさい」
なんて酷いことを言いやがる。好きで寝てるんじゃない。息子の気、親知らず。
赤ん坊の俺を目覚めさせたのも、春菜だったらしい。春菜の母さんが春菜を抱いたまま、ベビーベッドに眠る俺を覗き込むと、春菜は懸命に手を伸ばして俺に触ろうとしたそうだ。あんまり真剣なので、春菜の母さんは春菜をベビーベッドに降ろした。俺の隣に寝かされた春菜は、そっと手を伸ばし顔を触り……そして俺は初めての冬眠から目覚めた、というのが双方の親に何百回となく繰り返し聞かされた逸話、だ。
「まるで白雪姫のようだったわ。王子と姫の立場は反対だけどね」
と二人の母親はうっとりと語る。そして、お袋が安堵のあまり号泣してしまったことをしみじみと振り返り、最後に一歳になるかならぬかの頃からぴったりと添い寝をし合った俺と春菜を笑うのがお決まり。近頃はこれを言われるのが妙に照れくさくて仕方がない。チラリと春菜の顔を見るが、母親たちと一緒になってけらけら可笑しそうに笑っているだけだ。俺が一人で気にしすぎなのか?
つまり、春菜は欠かさず毎年、冬眠した俺を起こしに来る。そして今年も、春菜は俺を起こしに来てくれた。
「あ、目が開いた。おはよ、悠介」
「んー、春菜ぁ。今日は何月何日だ」
「三月五日。今年は暖かかった。やっぱり温暖化かなあ」
五日か、よかった、春菜の誕生日に間に合った。今年は、どうしても誕生日にプレゼントを渡したかった。三月七日の春菜の誕生日、去年も一昨年も、おめでとうすら言えなかった。照れ隠しに俺は春菜の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。こんな時の春菜の顔は、なんだかとても子供っぽい。
「なぁ、春菜。春菜はいつまで俺を起こしに来るつもりだ?」
「え? 悠介、わたしが来ないと起きないでしょ? それともまだ眠っていたかった? でも、気温もそんなに低くないし、今なら期末試験も間に合うし、数学、だいぶ進んじゃったけど。そうそう純くんから伝言があって」
「そうじゃなくて」
強く言ったつもりはなかったが、起き抜けの低い声に春菜の顔が少し強ばった。
「そうじゃなくて。高校卒業しても、働くようになっても、都会で暮らすようになっても……おまえに恋人が出来たり、結婚したりしても、俺を起こしに来るのか? 春菜が起こしに来てくれなかったらと思うと、俺、本当のところ、怖いんだ」
春菜はキョトンとした顔で俺の話を聞いていたが、すぐに頬を桜色に染めながら、だけどキッパリと言った。
「悠介、そんなこと心配していたの? 大丈夫! わたしの恋人が悠介なら、わたしの旦那さんが悠介なら問題ない。ちゃんと毎年起こすから、悠介は安心して冬眠していいんだよ。……さ、お腹減ってるでしょ。おばさーん、悠介起きたよー」
飯を食ったら、プレゼントを買いに行こう。指輪って、どこで買えるんだろう。俺はちょぴり溢れてきた涙を、欠伸のふりで誤魔化した。
第8回「電撃リトルリーグ」投稿作
乱暴に身体を揺すられている。そんなに急に起こすな。俺様は今、長い眠りから目覚めるのだ。恭しく起こせ。それから、春眠暁を覚えず、という言葉を教えてやらなきゃいかんな。
薄目を開けると、飛び込んで来たのは春菜の心配そうな顔だった。こんなに近くで春菜の顔を見るのは一年振りだな。でも、ちょっと、唇近すぎだ……。
今、俺のベッドを覗き込んでいる春菜は、隣の山岸さんの長女で、要するに幼なじみだ。俺とはぴったり四ヶ月違いの十六歳。ずっと一緒にいたから、春菜がかわいいかどうかなんて、よくわからない。ただ、近頃、クラスの奴に「春菜ちゃんを紹介しろよ」なんて言われると、ちょっと、いや、大分腹が立つ。
どういうわけだか、俺は生まれつき冬眠をする。気温が低くなり、最低気温が五度を下回ったあたりから、身体が言うことを聞かなくなる。冬日、つまり最低気温が零度を下回ると、もう完全にアウト。問答無用に昏々と眠り続けることとなる。学校に行くなんてもってのほか、飯もトイレも無しに、ただひたすら眠り続ける。そんなわけで、日本海側に住んでいるくせに一度もスキーもスノボもしたことがないのが密かなコンプレックス。
初めて俺が冬に眠りこけていた時、お袋は相当心配したらしい。いくら寝るのが仕事の赤ん坊でも、ミルクも飲まず、おしめを換える必要もなく、ただただ眠っているのだから、そりゃあ心配するのも当然だろう。おまけにその冬はやたら寒くて、ほとんど冬の間中寝ていたようだ。雪の中、眠る俺を抱きかかえて何軒も病院を回ったが、どこでも「寝る子は育つ」と一蹴されてしまったそうだ。身長が一八七センチもある今じゃ、笑い話だ。もちろんお袋は、すっかり俺の冬眠にも慣れて
「寒くなってきたわねえ。悠介、そろそろ寝ないの? あんたが寝てる間、食費が浮いて楽なのよね。どうせ雪降ろしも手伝わないんだから、寝るならさっさと寝ちゃいなさい」
なんて酷いことを言いやがる。好きで寝てるんじゃない。息子の気、親知らず。
赤ん坊の俺を目覚めさせたのも、春菜だったらしい。春菜の母さんが春菜を抱いたまま、ベビーベッドに眠る俺を覗き込むと、春菜は懸命に手を伸ばして俺に触ろうとしたそうだ。あんまり真剣なので、春菜の母さんは春菜をベビーベッドに降ろした。俺の隣に寝かされた春菜は、そっと手を伸ばし顔を触り……そして俺は初めての冬眠から目覚めた、というのが双方の親に何百回となく繰り返し聞かされた逸話、だ。
「まるで白雪姫のようだったわ。王子と姫の立場は反対だけどね」
と二人の母親はうっとりと語る。そして、お袋が安堵のあまり号泣してしまったことをしみじみと振り返り、最後に一歳になるかならぬかの頃からぴったりと添い寝をし合った俺と春菜を笑うのがお決まり。近頃はこれを言われるのが妙に照れくさくて仕方がない。チラリと春菜の顔を見るが、母親たちと一緒になってけらけら可笑しそうに笑っているだけだ。俺が一人で気にしすぎなのか?
つまり、春菜は欠かさず毎年、冬眠した俺を起こしに来る。そして今年も、春菜は俺を起こしに来てくれた。
「あ、目が開いた。おはよ、悠介」
「んー、春菜ぁ。今日は何月何日だ」
「三月五日。今年は暖かかった。やっぱり温暖化かなあ」
五日か、よかった、春菜の誕生日に間に合った。今年は、どうしても誕生日にプレゼントを渡したかった。三月七日の春菜の誕生日、去年も一昨年も、おめでとうすら言えなかった。照れ隠しに俺は春菜の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。こんな時の春菜の顔は、なんだかとても子供っぽい。
「なぁ、春菜。春菜はいつまで俺を起こしに来るつもりだ?」
「え? 悠介、わたしが来ないと起きないでしょ? それともまだ眠っていたかった? でも、気温もそんなに低くないし、今なら期末試験も間に合うし、数学、だいぶ進んじゃったけど。そうそう純くんから伝言があって」
「そうじゃなくて」
強く言ったつもりはなかったが、起き抜けの低い声に春菜の顔が少し強ばった。
「そうじゃなくて。高校卒業しても、働くようになっても、都会で暮らすようになっても……おまえに恋人が出来たり、結婚したりしても、俺を起こしに来るのか? 春菜が起こしに来てくれなかったらと思うと、俺、本当のところ、怖いんだ」
春菜はキョトンとした顔で俺の話を聞いていたが、すぐに頬を桜色に染めながら、だけどキッパリと言った。
「悠介、そんなこと心配していたの? 大丈夫! わたしの恋人が悠介なら、わたしの旦那さんが悠介なら問題ない。ちゃんと毎年起こすから、悠介は安心して冬眠していいんだよ。……さ、お腹減ってるでしょ。おばさーん、悠介起きたよー」
飯を食ったら、プレゼントを買いに行こう。指輪って、どこで買えるんだろう。俺はちょぴり溢れてきた涙を、欠伸のふりで誤魔化した。
第8回「電撃リトルリーグ」投稿作
2009年2月4日水曜日
スクリーン・ヒーロー
それは、ヒールとの激しい闘いの最中だった。
ヒールの拳がヒーローの鳩尾に入る。止めの一撃を食らわせてやったと、右の口角だけあげてほくそ笑むヒール。顔を歪めて苦しむヒーローを、観客は手に汗握り見守る。観客の祈りが通じたわけではなかろうが、ヒーローはよろよろと立ち上がり反撃に出た。最後の力を振り絞り、長い足での廻し蹴り。
渾身の蹴りは、しかしヒールには命中せず、スクリーンを見事に突き破る。
グガバッグバガバグバッガ
凄まじい音を立て一瞬で白い破れ幕と成り果てたスクリーンから、ごろり、ヒーローが観客席に転がり落ちたのだった。
夢にまで見た二枚目ヒーローがそこにいる。だがそれは、瀕死の重傷を負った男だった。観客席に喜びとも痛みともいえぬ悲鳴が響き渡る。
まもなく到着した救急車で運ばれたヒーローの安否も、映画の結末も、ついぞ知られることはなかった。
スクリーンが破られる音ばかりが、滓のように耳に沈んでいる。
********************
500文字の心臓 第82回タイトル競作投稿作
ヒールの拳がヒーローの鳩尾に入る。止めの一撃を食らわせてやったと、右の口角だけあげてほくそ笑むヒール。顔を歪めて苦しむヒーローを、観客は手に汗握り見守る。観客の祈りが通じたわけではなかろうが、ヒーローはよろよろと立ち上がり反撃に出た。最後の力を振り絞り、長い足での廻し蹴り。
渾身の蹴りは、しかしヒールには命中せず、スクリーンを見事に突き破る。
グガバッグバガバグバッガ
凄まじい音を立て一瞬で白い破れ幕と成り果てたスクリーンから、ごろり、ヒーローが観客席に転がり落ちたのだった。
夢にまで見た二枚目ヒーローがそこにいる。だがそれは、瀕死の重傷を負った男だった。観客席に喜びとも痛みともいえぬ悲鳴が響き渡る。
まもなく到着した救急車で運ばれたヒーローの安否も、映画の結末も、ついぞ知られることはなかった。
スクリーンが破られる音ばかりが、滓のように耳に沈んでいる。
********************
500文字の心臓 第82回タイトル競作投稿作
2009年2月2日月曜日
黒い毛皮に紅い花びら
紅梅の下で尻尾を切られた黒猫が丸まっている。
月の光に照らされた梅の花は妖しく紅い。
花びらがひとひら、黒猫の背に舞い降りる。
少女の手の中にある尻尾が、花びらを払おうと身を捩るが、届くはずもない。少女はベッドの中だ。
花びらは、黒猫の背中に居座っている。気に入ったらしい。
月の光に照らされた梅の花は妖しく紅い。
花びらがひとひら、黒猫の背に舞い降りる。
少女の手の中にある尻尾が、花びらを払おうと身を捩るが、届くはずもない。少女はベッドの中だ。
花びらは、黒猫の背中に居座っている。気に入ったらしい。
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