塀を乗り越えて気絶して、四時間後に歩き出した安田は、発条ネコの姿を探した。
見失いはしたものの、発条ネコなどそうそういるものではない。
しばらく探せば見つかるだろう。
思い返せば「いつでも緊急事態のネコ」はいつもいつのまにか安田の傍にいたのだ。
ひたすらに歩き続けていた安田の傍にいたということは発条ネコもまた、歩き続けていたということである。同じ方角を見て。
安田は発条ネコの健脚に感心した。
彼は自分の歩みが遅いことを知らない。
キンキュウジタイは整備場に入っている。
2005年11月10日木曜日
2005年11月9日水曜日
操り人間と発条ネコその21
発条ネコがひょいと塀に上がり、その向こうへ降りていく。
安田はあたりを見回した。それは袋小路と呼ばれるもの。
回れ右をしてもときた道を戻るのは、安田には考えられない。
彼は塀を登るしかない。発条ネコを追うためではなく、後戻りを回避するために。
塀の向こうは別の町だ。
キンキュウジタイは、町の景色を楽しんでいた。
この町はすべてが懐かしい。
塀を登った安田は肩が抜けた。
彼にとって幸いなことに、塀の向こうに墜ちて、腰が回った。
安田はあたりを見回した。それは袋小路と呼ばれるもの。
回れ右をしてもときた道を戻るのは、安田には考えられない。
彼は塀を登るしかない。発条ネコを追うためではなく、後戻りを回避するために。
塀の向こうは別の町だ。
キンキュウジタイは、町の景色を楽しんでいた。
この町はすべてが懐かしい。
塀を登った安田は肩が抜けた。
彼にとって幸いなことに、塀の向こうに墜ちて、腰が回った。
2005年11月7日月曜日
操り人間と発条ネコその20
病院を出た安田は少し前を歩く発条ネコを見つけた。
「あ、『いつでも緊急事態』の猫だ」
安田はなぜ発条ネコが病院にいるのか、さっぱりわからないがとにかく後を歩くことにした。
キンキュウジタイは腹が減っていた。発条が切れて眠くなるのはいつものことであるが
腹が減ってふらふらになるのは久しぶりだった。
ミミズを踏みつぶしたことを肉球に感じながらたいやき屋を目指す。
安田はまだ、ほかほかのたいやきを11個持っている。
「あ、『いつでも緊急事態』の猫だ」
安田はなぜ発条ネコが病院にいるのか、さっぱりわからないがとにかく後を歩くことにした。
キンキュウジタイは腹が減っていた。発条が切れて眠くなるのはいつものことであるが
腹が減ってふらふらになるのは久しぶりだった。
ミミズを踏みつぶしたことを肉球に感じながらたいやき屋を目指す。
安田はまだ、ほかほかのたいやきを11個持っている。
2005年11月6日日曜日
操り人間と発条ネコその19
発条ネコのキンキュウジタイは、救急車を先導している。
救急車の前を軽やかに走りながら自動車を薙ぎ倒す。
救急車は発条ネコをすごすごと追い掛ける。
発条が切れると救急隊員が素早く巻いた。
安田はうめき声をあげながら救急車に揺られている。
たいやきを食べ過ぎた。
救急車の前を軽やかに走りながら自動車を薙ぎ倒す。
救急車は発条ネコをすごすごと追い掛ける。
発条が切れると救急隊員が素早く巻いた。
安田はうめき声をあげながら救急車に揺られている。
たいやきを食べ過ぎた。
2005年11月5日土曜日
操り人間と発条ネコその18
発条ネコは町中を歩き回っていた。
操り人間を知らんかね? と聞いて回った。
操り人間は発条ネコのすぐ後ろにいると誰もがすぐに気がついたが誰もそれを言わなかった。
その代わり、人々は発条ネコにたいやきを与えた。
ピンクや紫や青いあんこの入ったたいやきをたらふく食べてキンキュウジタイはうんざりした。
潮時だと思った。明日この町を出よう。操り人間のことは忘れて。
安田はピンクのあんこのたいやきを30個買った。
操り人間を知らんかね? と聞いて回った。
操り人間は発条ネコのすぐ後ろにいると誰もがすぐに気がついたが誰もそれを言わなかった。
その代わり、人々は発条ネコにたいやきを与えた。
ピンクや紫や青いあんこの入ったたいやきをたらふく食べてキンキュウジタイはうんざりした。
潮時だと思った。明日この町を出よう。操り人間のことは忘れて。
安田はピンクのあんこのたいやきを30個買った。
2005年11月3日木曜日
操り人間と発条ネコその17
気絶していた操り人間安田が、清掃員に起こされ三日振りに歩き出した。
空腹を覚えてたいやき屋に立ち寄ると、発条ネコが寛いでいた。
「あぁ、いつでも緊急事態の猫だ」
安田がたいやきを頬張っているとやおら起きて、あくびを一つして歩き出した。
安田は発条ネコの後をついていくことにした。
発条ネコは安田の後姿を探している。
空腹を覚えてたいやき屋に立ち寄ると、発条ネコが寛いでいた。
「あぁ、いつでも緊急事態の猫だ」
安田がたいやきを頬張っているとやおら起きて、あくびを一つして歩き出した。
安田は発条ネコの後をついていくことにした。
発条ネコは安田の後姿を探している。
2005年11月2日水曜日
操り人間と発条ネコその16
発条ネコのキンキュウジタイが戻ってみると
操り人間はまだ寝ていた。
キンキュウジタイがたっぷり昼寝をして、目を覚ますとやっぱりまだ寝ていた。
キンキュウジタイは操り人間に見切りを付けて歩き出した。たいやきを食べに。
安田は気絶している。
操り人間はまだ寝ていた。
キンキュウジタイがたっぷり昼寝をして、目を覚ますとやっぱりまだ寝ていた。
キンキュウジタイは操り人間に見切りを付けて歩き出した。たいやきを食べに。
安田は気絶している。
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