十二月某日、晴。むかご飯を炊く。この家の周りでは見当たらないのだが、鳥が気を利かせて集めてくれたようだ。ベランダに散乱したむかごを見たときには何事かと思ったが。拾い集めたむかごを洗い、米と土鍋へ。塩も少し。土鍋の蓋がガタガタ騒ぎ出す。いつもよりうるさい。むかご入りが楽しいらしい。
2025年12月18日木曜日
2025年12月13日土曜日
暮らしの140字小説51
十二月某日、晴。小瓶が洗面台に落ちた。小瓶はゴミ受けを弾き飛ばし、排水口の中に吸い込まれた。浅いところで引っ掛かっているので割り箸でつまみ引き上げると、透明だった瓶は玉虫色に変わっていた。そもそもこの小さな瓶がいつから洗面所にいるのか何の瓶だかも判らない。何度捨てても戻ってくる。
2025年12月3日水曜日
暮らしの140字小説50
十二月某日、晴。機嫌がよいフリをして口笛を吹こうとしたが、音が出ない。ゴキゲンな「フリ」なのがバレてしまったせいか、口笛がヘタになったのか。「フィー」とも「ヒゥー」ともつかない音で何度もトナカイを走らせようとしたが、ルドルフでも赤鼻でもないナニカが只管に倒つ転びつするのみだった。
2025年12月1日月曜日
暮らしの140字小説49
十一月某日、晴。小さな柚子を十個採った。柚子湯にしようと風呂を沸かしていると、小柄な武将が「湯を貰いたい」とやってきた。鎧を脱ぎ着するのを手伝い、ホカホカの武将が帰るのを見届けた。やっと柚子湯だ!と浴室に入ると、菖蒲湯になっていた。あれは五月人形であったか。柚子湯には明日入ろう。
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