超短編
視線を感じる。第七頚椎のあたりがソワソワする。振り返る。誰もいない。首の後を擦る。翌日、首を隠して歩く。「もし」低く嗄れた声に飛び上がる。返事をしてはならない。だが、口はもう動いていた。「はい?」「月が綺麗だね」何かが胸に込み上げる。この嗄れ声は。振り返る。名を呼ぶ。誰もいない。