2025年10月25日土曜日

#秋の星々140字コンテスト「後」投稿作

老いた一角獣が歩いている。肉の削げた脚が崩れたワルツを刻み、白い尾は機嫌よく揺れている。痩せた背の赤い鞍が気になり、後から声を掛けた。「翁、かつては人を乗せたのであろう?」「可憐な乙女であった」明瞭な人語。懐かしい声。「私を湖まで乗せてくれぬか?」あなたが浄めた湖の辺でワルツを。