超短編
六月某日、曇。この間、実を踏んでしまった枇杷の大木がごっそり剪定されていた。枝の切口がまだ生々しい。すっきりして喜んでいるのは根元に生えている紫陽花だろう。濃い紫をさらに深くしている。この紫陽花には警戒を怠ってはいけない。秋にも咲いたことがあるからだ。蝸牛にもそっと耳打ちをする。