超短編
五月某日、雨。八百屋から帰ってきて、野菜たちを片付けていたら、買ったはずの長葱がないことに気が付いた。傘を差して、家を出る。幾らも歩かぬうちに見つかり、安堵する。駆け寄ると、雨に濡れた長葱は匂いを強く発していて泣いているようだった。長葱が鼻と目を刺激するので、一緒に泣いて帰った。