2025年6月16日月曜日

暮らしの140字小説20

六月某日、雨。風邪を引いた。九ヶ月ぶりである。風邪というのは二種類ある。感染したという実感があるものと、ふらふらと体調を崩し、風邪になるもの。体温計がなぜかのっぺらぼうになって表示窓も押釦もない。「体温測ってください」と頼み脇の下に突っ込むと「37.2度」と言う。信用していいものか。