2025年5月6日火曜日

暮らしの140字小説10

五月某日、晴。グラスを割ってしまった。グラスは再生速度を半分にして落下し、そして割れた。おかげで弾ける硝子片とその音をじっくり鑑賞することができたが、グラスは失われた。佇まいのすっきりしたよいグラスだった。ベランダからそれを見ていた鳥がグラスの割れる音を覚え、延々と再生している。(140字)