超短編
空腹と夏空、どちらの空が是か、問答させたい。(22字)
ハーモニカ爺さんが奏でる素朴なメロディーを、カブトムシに聞かせたい。(34字)
あわてんぼうの夏空に、蝸牛と紫陽花の陳情を届けたい。(26字)
雨宿りをしてみたい茸のために、傘を誂えたい。(22字)
古いステンドグラスの青い硝子を取り出して、海で泳がせたい。(29字)
心臓の火傷が治った鳥に、新しい飛び方を教わりたい。(25字)
空を飛びたい黒猫のために、鴉の羽を集めて、嫌われたい。(27字)