超短編
音楽に合わせて優雅に、だが延々と回っている陶人形に、三半規管の鍛え方を訊きたい。(40字)
子どもの頃「卵ボーロを温めたら何が生まれるの?」とよく言っていた甥に、この小さな生き物を今すぐ見せに行きたい。(55字)
彼岸まで行っても翌年には戻ってくる暑さや寒さに、彼岸がどんな所か聞いてみたい。(39字)
猫しか住めないその町に、木天蓼と爪研ぎを定期的に届けたい。(29字)
切り株の上にバウムクーヘンを乗せて、ドイツで教わった早口言葉を唱えたい。(36字)
猫の首輪になったら、鈴を大小数多集め、用途によって鳴らし分けたい。(33字)