超短編
次の雨の日、苔町に招待されることになっているから、長靴を買い替えたい。(35字)
街灯は発光シャボン玉だというその町に行ってみたい。(25字)
標本箱に溜まった埃から、蒐集談義を聞きたい。(22字)
初詣に行けなかったから、狛犬におみくじを届けてもらうための地図を描きたい。(37字)
ハンモックを吊るすに相応しい樹木をそこら中に植えたい。(27字)
冬の夜、スキップしながらご機嫌な口笛を吹いて、音符が凍るのを見たい。(34字)
来年の元日は 「我こそは月の化身なり!」などとは言わぬ、無口な丸餅を食べたい。(38字)