公園に続く道。大きなしゃぼん玉が私の前を飛ぶので、ついて歩いた。
しゃぼん玉はちょうど頭くらいの大きさで、私の目の前を飛んでいる。いつもの道、いつもの景色が、しゃぼん玉を通してみるだけで、違う世界を歩いているような気分。ちょっと不安になって、時々キョロキョロまわりを見渡す。
もうすぐ公園に入るというところで、しゃぼん玉は唐突に墜落し、弾けた。私はしゃぼん玉が落ちて濡れた道を踏んでしまった。そして違う世界に落っこちたのだ。ここはしゃぼん玉の中の世界だって、私は知っている。
2015年9月14日月曜日
2015年8月28日金曜日
2015年8月23日日曜日
2015年8月18日火曜日
2015年8月16日日曜日
八月十六日 冷蔵庫
冷蔵庫は人知れず開く。お盆で帰った亡者のために、お茶を出したり、ビールを出したり。亡者へのもてなしが済むと、そっと扉を閉める。人には見つからないように、冷蔵庫は冷蔵庫なりに気を使うのだ。
が、我が家の冷蔵庫は誰に似たのか粗忽者で、去年の夏も今年の夏も、扉を閉め忘れていた。 明け方、開いたままの冷蔵庫を見つけた私は、飲みかけの缶ビールがあるのを確認した。ばあちゃんが来ていたらしい。「ショワショワしておいしい」と、祖母はわけがわからなくなってもビールを愛飲していた。もうちょっと高級のを置いておけばよかったねえ。
冷蔵庫には、電気が勿体ないし、食べ物が腐るので、ちゃんと閉まっておけとよくよく言い聞かせたのは言うまでもない。
が、我が家の冷蔵庫は誰に似たのか粗忽者で、去年の夏も今年の夏も、扉を閉め忘れていた。 明け方、開いたままの冷蔵庫を見つけた私は、飲みかけの缶ビールがあるのを確認した。ばあちゃんが来ていたらしい。「ショワショワしておいしい」と、祖母はわけがわからなくなってもビールを愛飲していた。もうちょっと高級のを置いておけばよかったねえ。
冷蔵庫には、電気が勿体ないし、食べ物が腐るので、ちゃんと閉まっておけとよくよく言い聞かせたのは言うまでもない。
2015年8月10日月曜日
八月十日 しゃぼん玉
しゃぼん玉がひとつ、飛んでいる。フワフワというより、ビュンビュン飛んでいる。誰かに操縦されているようだ。あたりを見回したけれど、ほかのしゃぼん玉も、しゃぼん玉を飛ばしている子も、居ない。しゃぼん玉に見えるそれは、たとえば異星から来た何かなのかもしれない。ちょっと追いかけてみたけれど、ヒュッ!と一気に上昇してキラリ光った後、見えなくなってしまった。
2015年8月6日木曜日
八月六日 指輪の入った箱
指輪が入った箱は意外と大きい。でも、軽い。箱の中の指輪は、カラカラと涼やかな音を立てながら、踊っている。今日もどこかで祝福の指輪が交わされるのだろう。だから指輪は踊り続ける。そのために、指輪の箱は、いつだって大きくなくてはならない。
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