あの子からのメールはいつだって一文字も書いてない。「明日逢おう」の返事も、「好きだよ」の返事も、真っ白なメールが来るだけだから、YesかNoかもわからない。ただ返信だけは瞬時というくらいに早いから、僕はそれに縋りついている。
ところが、あの子からのメールを開いたまま、僕はふと携帯を耳に当ててみて、僕はあの子がとっても饒舌なんだと知った。びっくりして、慌てて、戸惑って。今まで来たあの子からのメールを全部初めてから聞き直した。
二時間掛けて聞き直して
「どうしたらきみと同じようなメールが出せる?」
と送信した。二秒も経たないうちに来た返事は
「バレちゃった?」
だった。
2008年12月13日土曜日
2008年12月12日金曜日
光の海
浮かぶのに、ちょっとした勇気とコツが要るのは、塩水の海と同様だ。
けれども、塩水の海のように手足を振り回すことも、醜い面で息継ぎをする必要もない。
それは初めのうち、僕をひどく混乱させた。手足を動かして体勢を整えることが何の意味も持たないことを理解するまで、随分かかった。
つまり、身体を動かそうと動かすまいと、一切状況は変わらないのだ。
必要なのは光で、光有れと願うことだけだった。
僕はこの海に飛び込んだ理由を思い出していた。夜空を白くする程に眩ゆい光が溢れ、僕はかつてない胸の高鳴りを覚えたのだ。昨日まで何よりも美しいと感じていた夜空の月も星も、その存在すら忘れていた。
ふと、眼下に影があることに気付く。それは僕の影で、その影があまりにくっきりと正しい黒なので、ほんの一瞬見惚れた僕は、忽ち海の底よりも深くに沈んでいく。
けれども、塩水の海のように手足を振り回すことも、醜い面で息継ぎをする必要もない。
それは初めのうち、僕をひどく混乱させた。手足を動かして体勢を整えることが何の意味も持たないことを理解するまで、随分かかった。
つまり、身体を動かそうと動かすまいと、一切状況は変わらないのだ。
必要なのは光で、光有れと願うことだけだった。
僕はこの海に飛び込んだ理由を思い出していた。夜空を白くする程に眩ゆい光が溢れ、僕はかつてない胸の高鳴りを覚えたのだ。昨日まで何よりも美しいと感じていた夜空の月も星も、その存在すら忘れていた。
ふと、眼下に影があることに気付く。それは僕の影で、その影があまりにくっきりと正しい黒なので、ほんの一瞬見惚れた僕は、忽ち海の底よりも深くに沈んでいく。
2008年12月10日水曜日
2008年12月9日火曜日
2008年12月7日日曜日
乾いた空気
今日は随分空気が乾燥しているようだ。
そう思った途端に喉の粘膜の、粘膜という名称を疑いたくなるような不快感に襲われ、俺は激しく咳き込んだ。
その口から飛び出すのは、唾の飛沫ではなく、枯れ葉の欠片であった。
なかなか治まらない咳きの隙間を縫うように、どうにか息を吸い込めば、今さっき撒き散らした葉の欠片を吸い込んで、それが更に激しい咳きを誘発する。
咳きはいつまで経っても治まる気配はなく、俺の足元には赤や黄色の砕けた葉が積もる一方で、たぶん俺はこの枯葉に埋もれて死ぬのだ。
そう思った途端に喉の粘膜の、粘膜という名称を疑いたくなるような不快感に襲われ、俺は激しく咳き込んだ。
その口から飛び出すのは、唾の飛沫ではなく、枯れ葉の欠片であった。
なかなか治まらない咳きの隙間を縫うように、どうにか息を吸い込めば、今さっき撒き散らした葉の欠片を吸い込んで、それが更に激しい咳きを誘発する。
咳きはいつまで経っても治まる気配はなく、俺の足元には赤や黄色の砕けた葉が積もる一方で、たぶん俺はこの枯葉に埋もれて死ぬのだ。
2008年12月3日水曜日
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