雀の巣で涼んでいると、鈴なりの西瓜をぶら下げて寿司屋がスクーターでやってきた。
「少し酸っぱいですよ」
と寿司屋が言うのですりおろして啜って食べた。
隅々まで吸い上げると、相撲取りがスフィンクスと寸劇をするのが透けて見えた。
「す」#f9ff3f
2008年10月10日金曜日
2008年10月8日水曜日
し #f4ffff
しわくちゃの下着を写真に撮って調べていたら、知らない歯科医を紹介された。
歯科医の審判により、真実の椎茸を試食すると、下着のシワは思春期の司法書士の仕業だとわかった。
しらばっくれる司法書士をしごいて尻拭いをさせる。
信濃川の清水で下着を始末すれば、しっかりシワが取れて幸せ。
「し」#f4ffff
歯科医の審判により、真実の椎茸を試食すると、下着のシワは思春期の司法書士の仕業だとわかった。
しらばっくれる司法書士をしごいて尻拭いをさせる。
信濃川の清水で下着を始末すれば、しっかりシワが取れて幸せ。
「し」#f4ffff
2008年10月6日月曜日
さ #edf2ff
淋しいと叫びたい寒空なのに、さっき最後の酒が尽きてしまった。
さしあたり、栄螺のサンドイッチしかない。鮭のサーロインステーキはサウジアラビアのサーカス団に差し入れてしまった。
散々、彷徨った。さまざまな災難を避けてきた。最後に着いたのは、砂漠だった。
三月のサハラに、桜は咲かない。
「さ」#edf2ff
さしあたり、栄螺のサンドイッチしかない。鮭のサーロインステーキはサウジアラビアのサーカス団に差し入れてしまった。
散々、彷徨った。さまざまな災難を避けてきた。最後に着いたのは、砂漠だった。
三月のサハラに、桜は咲かない。
「さ」#edf2ff
2008年10月5日日曜日
こ #000000
根拠のない古文書にはこうある。
「凍える黄砂に呼応して、恋物語は粉々になる」
困った子羊ちゃんは琥珀のコルセットでこれでもかと腰を膠着した。木陰で小刻みに鼓膜を震わせ、恋人と言葉を交換した痕跡はここにはない。
混迷する骨盤が恍惚とする間は、木枯らしが来ないだろう。
「こ」#000000
「凍える黄砂に呼応して、恋物語は粉々になる」
困った子羊ちゃんは琥珀のコルセットでこれでもかと腰を膠着した。木陰で小刻みに鼓膜を震わせ、恋人と言葉を交換した痕跡はここにはない。
混迷する骨盤が恍惚とする間は、木枯らしが来ないだろう。
「こ」#000000
二人だけの秘密
小学一年生の時、転校してきて転校していった男の子がいた。苗字は覚えているけれど、果たして正しい記憶かどうか。
ヘラヘラして垢抜けない少し変な(それまでに会ったことのないタイプ)子だった。クラスも最後まで完全には彼を受け入れていなかったと思う。
転校してきた日、家が近くだった私は彼と下校するように言われて、ひどく憂鬱だった。けれども、それ以降毎日二人で帰ることとなる。示し合わせるわけでもなく、ごく当たり前に二人並んで歩いた。幼すぎる猥談でゲラゲラと笑いながら。帰り道だけの、二人だけの時間。邪魔されたくなかった。
「夏になると早く冬になれ、冬になると早く夏になれって思うよね」
と、珍しくしんみりと語り合ったのはいつの季節だったのだろう。
たぶん一緒に過ごしたのは夏でも冬でもないほんの短い間だったのだ。
名簿にも写真にも彼の痕跡は残っていない。この記憶を裏付けてくれるものは、何一つない。あの男の子との思い出は幻なのかもしれない。
鮮やか過ぎる彼の面影を仕舞う術を私は持たない。彼もまた私との帰り道を思い出すことがあるのだろうか、あって欲しいと願う度に、彼の存在の不確かさに絶望する。
ヘラヘラして垢抜けない少し変な(それまでに会ったことのないタイプ)子だった。クラスも最後まで完全には彼を受け入れていなかったと思う。
転校してきた日、家が近くだった私は彼と下校するように言われて、ひどく憂鬱だった。けれども、それ以降毎日二人で帰ることとなる。示し合わせるわけでもなく、ごく当たり前に二人並んで歩いた。幼すぎる猥談でゲラゲラと笑いながら。帰り道だけの、二人だけの時間。邪魔されたくなかった。
「夏になると早く冬になれ、冬になると早く夏になれって思うよね」
と、珍しくしんみりと語り合ったのはいつの季節だったのだろう。
たぶん一緒に過ごしたのは夏でも冬でもないほんの短い間だったのだ。
名簿にも写真にも彼の痕跡は残っていない。この記憶を裏付けてくれるものは、何一つない。あの男の子との思い出は幻なのかもしれない。
鮮やか過ぎる彼の面影を仕舞う術を私は持たない。彼もまた私との帰り道を思い出すことがあるのだろうか、あって欲しいと願う度に、彼の存在の不確かさに絶望する。
2008年10月4日土曜日
2008年10月3日金曜日
ひなたぼっこ
縁側で目が覚めて欠伸をして伸びをしたところで、子猫になっていることに気がついた。
硝子窓に己の姿を写してみる。まだまだ小さいがなかなか良い姿ではないか。特に耳の形がいいと思う。
人間だった時はためつすがめつ鏡を見ることなんて滅多になかった。冴えない中年男だったのだから。
俺はもう一度伸びをしてから考えた。まだ日は高い。縁側はこれ以上ないほど心地よいが、もう一眠りするには惜しい気がする。これから猫として生きてゆくのだ、辺りを探索したほうがいいのではないか。
迷っているうちに、お日さまの野郎は、俺をぬくぬくとあたためる。欠伸が止まらない。
硝子窓に己の姿を写してみる。まだまだ小さいがなかなか良い姿ではないか。特に耳の形がいいと思う。
人間だった時はためつすがめつ鏡を見ることなんて滅多になかった。冴えない中年男だったのだから。
俺はもう一度伸びをしてから考えた。まだ日は高い。縁側はこれ以上ないほど心地よいが、もう一眠りするには惜しい気がする。これから猫として生きてゆくのだ、辺りを探索したほうがいいのではないか。
迷っているうちに、お日さまの野郎は、俺をぬくぬくとあたためる。欠伸が止まらない。
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