2007年1月7日日曜日

一月七日 闇おにぎり

味噌焼きおにぎりがおいしそうに出来た。
「いただきます!」と叫んだら、電球が切れた。
電球は、味噌の香りにたまげたらしい。
真っ暗な中で、もそもそと焼きおにぎりを食べる羽目になった。
おいしかったけれど。

2007年1月6日土曜日

一月六日 雪の朝

朝起きると雪が積もっていた。早速、庭で雪うさぎをつくる。完成したと思ったら、見る見るうちにウサギになった。
「あ~あ」と大きな欠伸をし、ブルッと震えて「さぶっ」と叫び、
私のセーターの胸の中に潜り込んでしまった。全くウサギらしくないことである。

2007年1月5日金曜日

一月五日 浅間山にご機嫌伺い

浅間山が雪を被ってブルブル震えているので、カイロをプレゼントしたいが、一体何枚贈ればよいのだろう。
とにかく、浅間山にくしゃみはしないで欲しいのだ。
浅間山のくしゃみは、とても困る。

2007年1月4日木曜日

一月四日 煮え切らない透明人間

高円寺には、そこかしこに透明人間がいた。路地という路地にいるけれど、派手でなマフラーや手袋、帽子を被っているので、すぐわかる。
彼らは皆、それでも自分が見えてないと思っているらしい。ぐにゃぐにゃと奇妙な踊りを踊ってこちらにアピールしてくる。
見えてほしいのか、ほしくないのか。

2007年1月3日水曜日

一月三日 箱詰めキャンディ

荷物が届いた。ウサギが入っているに違いない、と恐る恐る開けてみるが、ウサギではなく色とりどりのキャンディがぎっしり入っていた。
「ウサギじゃなくてよかった」
と呟くとキャンディを6個頬張ったウサギが現れて
「黒猫親子の仕業だな」
と言った。

一月二日 箪笥の中に

箪笥のひきだしから黄ばんだYシャツが次から次へと出てきて止まらない。
部屋の中に古いYシャツが山となる。
三回前の冬に死んだ祖父のものだ。
祖父が死んで間もなくに服は全て片付けたはずなのに。
そもそも、溢れ出てきたYシャツはひきだしの容量をはるかに超えている。ブラックホールか四次元ポケットか。
私が仏壇の前に言って文句を言うと、遺影の祖父は舌を出した。

2007年1月1日月曜日

一月一日 壊れたプリンター

いつも年始の挨拶にくるウサギが現れない。
どうしたのかと思っていたら昨日壊れたプリンターから、ぺちゃんこになったウサギが出てきた。
ぺちゃんこウサギに「あけましてありがとうございます」と印刷されていた。
プリンターが壊れたのはきっとウサギのせいだ。
プリンターはウサギもろとも電機屋に引き取ってもらった。