2006年4月13日木曜日

四月十三日 眼鏡の拭き方

少年は眼鏡を掛けたまま眼鏡拭き。
まったく器用にやるもんだ。白い布が眩しくないかい?

2006年4月11日火曜日

四月十一日 消える言葉

落書きというは、一度目に付くと気になって仕方ないものだ。
落書きというのは、猥褻な言葉が書いてあることが多いものだ。
そのわりに、ちっともそそらない。
落書きを消すための、この除光液の匂いのほうが、ずっとクラクラする。

鼻先と爪先

詮索好きのお嬢さんは、あちこち嗅ぎ回るものだから鼻が伸び、ついに爪先に届いてしまった。
そこで彼女は花持ちの婆さんに鼻を担がせることにした。
鼻持ちならない長鼻のお嬢さん。

There was a Young Lady whose nose,
Was so long that it reached to her toes;
So she hired an Old Lady,
Whose conduct was steady,
To carry that wonderful nose.

エドワード・リア『ナンセンスの絵本』ちくま文庫

2006年4月10日月曜日

蝿を蝕む

トロイの娘さんは巨大な蝿に虫酸が走った。幾つかを泥に埋め、幾つかを蒸し殺し、幾つかを筵に巻き、それを担いでトロイに帰った。

There was a Young Lady of Troy,
Whom several large flies did annoy;
Some she killed with a thump,
Some she drowned at the pump,
And some she took with her to Troy.

エドワード・リア『ナンセンスの絵本』ちくま文庫

2006年4月9日日曜日

保育園

エンペラータマリンの男性に仕事を尋ねと「保育士」と返ってくることが多い。
事実、エンペラータマリンが園長や理事をつとめる保育園や幼稚園が近頃人気だ。
彼らはヒトの子供よりもずっと小さな身体だが
長い尻尾にさらに長い紐をつけ、子らに握らせて行列で散歩をしているエンペラータマリンはヒゲがピンと伸びている。実に誇らしげだ。


【マーモセット科エンペラータマリン アマゾン 絶滅危惧Ⅱ類】

2006年4月6日木曜日

待ち合わせ注意

クロザルが渋谷での待ち合わせによく使うのはモヤイ像である。
こだわりがあるらしく、ハチ公は絶対に使わない。
時々ヒトがクロザルとモヤイ像を間違えると、クロザルは怒り狂う。
こっそり写真を撮ろうとすれば、素早く飛んできて足に噛み付かれる。
もしクロザルがモヤイ像のそばに佇んでいたら
迷わず待ち合わせ場所をハチ公に変えることを恋人に提案するべきだ。


【オナガザル科クロザル スラウェシ島 絶滅危惧種】

2006年4月1日土曜日

絶品のあご

ピンととがったあごを持つお嬢さんは、
自慢の顎をさらに鋭く磨き上げて
チントンシャンとハープを顎で弾きました。

There was a Young Lady whose chin,
Resembled the point of a pin;
So she had it made sharp,
And purchased a harp,
And played several tunes with her chin.

エドワード・リア「ナンセンスの絵本」より