懸恋-keren-
超短編
2005年7月8日金曜日
フクイサウルスは、迷子
フクイサウルスは、歩く。
スクランブル交差点、ビルの屋上、地下道。
えっちら、おっちら、歩く。
きみなら彼に声を掛けるかもしれない。
「やあ、フクイサウルス。どこ行くの?」
フクイサウルスは、笑って答える。
「迷子なの」
えっちら、おっちら、歩くフクイサウルスは、なぜだか笑ったままなのだ。
とても楽しそうなのだ。
あまり迷子には見えないけれど、デパートの中、大通り、野外劇場。
フクイサウルスは、たぶん母を探して歩いている。
《Fukuisaurus 白亜紀前期 全長4.7メートル》
2005年7月7日木曜日
エルリコサウルスと、ピアノ
エルリコサウルスは、ピアノがお得意なのを、ご存知だろう。
彼は非常に恥ずかしがり屋であるから、ピアノを弾く姿を見るのは難しい。
しかし、お披露目の機会は、やってきた。
街の発表会にエルリコサウルスは、招かれたのである。
今まで噂だけで、誰も見たことがなかったエルリコサウルスの演奏を見られるとあって、会場は満席である。
彼が舞台に登場すると会場は、大歓声に包まれた。
いや、悲鳴だったといっていい。
青いリボンを巻いたエルリコサウルスは、舞台の天井を突き破りながら現れたのだから。
《Erlikosaurus 白亜紀後期 全長5メートル》
2005年7月6日水曜日
スーパーマーケットに、ダケントルルス
ダケントルルスがスーパーマーケットで、野菜を吟味している。
「あら、イイほうれん草ね。ブロッコリーもおいしそう」
だけど、ダケントルルスにスーパーマーケットの通路は狭すぎる。
ご立派なスパイクに、沢山の商品を突き刺しながら、ダケントルルスはお買い物。
店長が追い掛ける。
《Dacentrurus ジュラ紀後期 全長4.5メートル》
2005年7月5日火曜日
クリョロフォサウルスが、挨拶
「はじめまして。ぼく、クリョフォ……?」
彼の名は、クリョロフォサウルス。
「では、ここにサインをお願いします」
「OK、Cryol……??」
彼の名はCryolophosaurus。
気の毒なクリョロフォサウルス、己の名が覚えられない。
《Cryolophosaurus ジュラ紀中期 全長7メートル》
2005年7月4日月曜日
バガケラトプスが、散歩
バガケラトプスは散歩が好きなんである。
お気に入りの首輪をはめて、喜ぶんである。
バガケラトプスは、お洒落なんである。
「今日はいいお天気だから、公園に行きましょうよ」
そうは言っても、散歩の道は、決められないんである。
二本足に、従わなければならないんである。
バガケラトプスは、ペットなんである。
《Bagaceratops 白亜紀後期 全長0.9メートル》
2005年7月3日日曜日
バス停に、アンキロサウルス
アンキロサウルスがバスを待っている。
もう三時間も待っている。
バスが来ないわけではない。
バスは彼女の前を通り過ぎて行くのだ。
「んもぅ。運転手は、あたしが見えないのかしら」
また、一台バスがやってきた。
「待って!乗ります!」
と彼女は叫んだが、バスは速度を落とすことなく通り過ぎた。
残念ながら、バスはアンキロサウルスよりも小さい。
《Ankylosaurus 白亜紀後期 全長9メートル》
2005年7月1日金曜日
ナマケモノ【ナマケモノ】
�� 生の獣、の意。
煮焼きしていない、生のままの獣。
類:ナマゴム、ナマコンクリート、ナマキズ、ナマクリーム、ナマビールなど
2 ナマケモノ科の哺乳類。
Choloepus means a raw beast.
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