消えた記憶を取り戻す旅に出た生真面目なキクラゲは傷を負って、義賊のキリンが経営する喫茶店に寄宿していた。
キクラゲは気弱になっていた。
「奇跡でも起きなければ私の記憶は戻らない」
「キクラゲ、きっときみの記憶は戻る。希望を持とう」
キツツキが切手のない手紙を運んできた。
「キクラゲ、吉報だ。おまえはキャラメルを食べて倒れたという情報だよ」
そこへ客の吸血鬼がやってきて牙を剥いて言った。
「キャラメルの解毒剤はキクラゲで作ったキャンディーだ」
あぁ、気の毒なキクラゲ、己を切り刻む。
2003年2月8日土曜日
2003年2月7日金曜日
か
買い込んだカレーライスとカービン銃だけを頼りに
海賊カタツムリが開拓した海王星に下級階級の怪獣が移り住んだ。
怪獣のカバンに隠れていたカエルが異常繁殖した。
苛酷な環境に負けた怪獣に代わってカエルが活躍。
カエルは生き残った怪獣たちを飼い馴らして家畜にした。
やがてカエル同士の合戦が起き、カブキ者のカエルが割拠し、それなりの平穏が訪れた。
だが蚊取線香が不足し風邪が大流行した。
怪獣は蚊帳作りに精を出したが追い付かず、我慢強いカエルも風邪のため影が消えはじめた。
カバが鳴くから火星に帰ろ。
海賊カタツムリが開拓した海王星に下級階級の怪獣が移り住んだ。
怪獣のカバンに隠れていたカエルが異常繁殖した。
苛酷な環境に負けた怪獣に代わってカエルが活躍。
カエルは生き残った怪獣たちを飼い馴らして家畜にした。
やがてカエル同士の合戦が起き、カブキ者のカエルが割拠し、それなりの平穏が訪れた。
だが蚊取線香が不足し風邪が大流行した。
怪獣は蚊帳作りに精を出したが追い付かず、我慢強いカエルも風邪のため影が消えはじめた。
カバが鳴くから火星に帰ろ。
2003年2月5日水曜日
お
おてんばなオコジョは尾をフリフリ、丘から飛び降りた。
落ちるオコジョをおしゃれなオバケが追いかけた。
「おーいオコジョ、置いてけぼりにしないでよぉ」
「老いぼれオットセイに聞いたんだ。この下にオアシスがあるって」
遅れてオアシスに降りたオバケは驚いた。
オアシスはおチビなオニのオンパレード!
恐ろしい顔のオニたちが輪になって踊っていた。
オコジョもオバケもはじめは怯えていたが、そのうちおずおずと踊りの輪に入って大騒ぎ。
踊りがお開きになるとおこわとおしることオレンジをお土産に貰って帰った。
おめでたい。
落ちるオコジョをおしゃれなオバケが追いかけた。
「おーいオコジョ、置いてけぼりにしないでよぉ」
「老いぼれオットセイに聞いたんだ。この下にオアシスがあるって」
遅れてオアシスに降りたオバケは驚いた。
オアシスはおチビなオニのオンパレード!
恐ろしい顔のオニたちが輪になって踊っていた。
オコジョもオバケもはじめは怯えていたが、そのうちおずおずと踊りの輪に入って大騒ぎ。
踊りがお開きになるとおこわとおしることオレンジをお土産に貰って帰った。
おめでたい。
2003年2月4日火曜日
え
エンピツは英断を下した。あの煙突に謁見するのである。
エンピツは出発に合わせて鋭角に削りあげた円錐の頭を輝かせ、遠路を行く。
途中、園児に襟首つかまれて縁談を持ち込まれてもへこたれなかった。
獲物がなければエスカルゴを餌にしてエンゲル係数は下げなかった。
そして、ついに煙突に謁見することが許された。
煙突は言った。
「この世は永遠の絵空事」
エンピツはこの言葉を枝に彫った。
「エレジーだ」とエンピツは思った。
さらにエンピツは栄位を授かった。
エポックメイキングなエンピツは英雄になったのだった。
エンピツは出発に合わせて鋭角に削りあげた円錐の頭を輝かせ、遠路を行く。
途中、園児に襟首つかまれて縁談を持ち込まれてもへこたれなかった。
獲物がなければエスカルゴを餌にしてエンゲル係数は下げなかった。
そして、ついに煙突に謁見することが許された。
煙突は言った。
「この世は永遠の絵空事」
エンピツはこの言葉を枝に彫った。
「エレジーだ」とエンピツは思った。
さらにエンピツは栄位を授かった。
エポックメイキングなエンピツは英雄になったのだった。
2003年2月3日月曜日
う
自惚れウサギは嘘つきでウシを騙す。
「ウミウシを見たら歌えばいい。『ウグイスにはウイスキーがうってつけ』
うかうかしてるとウミウシが羽化してウジムシになっちまうよ」
ウシはうーむと唸った。
ウシはウサギの嘘を打ち崩したかったが、うってつけのうんちくを持ち合わせていなかった。
仕方なくウシはうやうやしく言った。
「その胡散臭い噂話はうろんな奴からの受け売りでしょう?」
そこにウミウシがやって来たので、ウサギは狼狽えた。
ウシとウミウシは仲麗しく憂さ晴らし。嘘つきは疎まれ右往左往。
「ウミウシを見たら歌えばいい。『ウグイスにはウイスキーがうってつけ』
うかうかしてるとウミウシが羽化してウジムシになっちまうよ」
ウシはうーむと唸った。
ウシはウサギの嘘を打ち崩したかったが、うってつけのうんちくを持ち合わせていなかった。
仕方なくウシはうやうやしく言った。
「その胡散臭い噂話はうろんな奴からの受け売りでしょう?」
そこにウミウシがやって来たので、ウサギは狼狽えた。
ウシとウミウシは仲麗しく憂さ晴らし。嘘つきは疎まれ右往左往。
2003年2月2日日曜日
い
田舎育ちのイナゴ曰く
「いつかインドへ行ってみたい」
「いっそのこと今すぐ行けば?」
いい加減なことを言うはイナ背なイモムシ。
「いいね」
言うが早いかイナゴは一足飛びで異国に行ってしまった。
あれから幾年月、イナゴは未だ帰らず、イモムシは慰霊碑を建てた。
「一本気のイナゴよ、きみは何処に眠るのか。イナゴよ、きみは勇ましかった」
いみじくも一部始終眺めていたのが威風堂々のイヌ。
イヌはいじらしいイモムシを見つめて溜め息ついた。
イナゴは一尺先の石の上で稲荷寿司を食べていると、いずくんぞ教えん。
「いつかインドへ行ってみたい」
「いっそのこと今すぐ行けば?」
いい加減なことを言うはイナ背なイモムシ。
「いいね」
言うが早いかイナゴは一足飛びで異国に行ってしまった。
あれから幾年月、イナゴは未だ帰らず、イモムシは慰霊碑を建てた。
「一本気のイナゴよ、きみは何処に眠るのか。イナゴよ、きみは勇ましかった」
いみじくも一部始終眺めていたのが威風堂々のイヌ。
イヌはいじらしいイモムシを見つめて溜め息ついた。
イナゴは一尺先の石の上で稲荷寿司を食べていると、いずくんぞ教えん。
2003年2月1日土曜日
あ
ある暑い朝のことでした。
アリンコがあじさいの葉の上を行脚していると、アヒルに会いました。
「あけましておめでとう、アリンコ」
アヒルは愛想よく挨拶しましたのにアリンコは「あぁ」と言ったきりでした。
アヒルはあっけらかんと、歩いていきました。
雨が降ってきましたよ。
アリンコはあわてて帰ると行灯を点け、あんころ餅とアスパラガスの和物を味わい、アイロンを掛けました。
そして雨傘を持って愛するアメンボと逢引きしに出掛けます。
案外アリンコは甘えん坊なのでした。
アリンコがあじさいの葉の上を行脚していると、アヒルに会いました。
「あけましておめでとう、アリンコ」
アヒルは愛想よく挨拶しましたのにアリンコは「あぁ」と言ったきりでした。
アヒルはあっけらかんと、歩いていきました。
雨が降ってきましたよ。
アリンコはあわてて帰ると行灯を点け、あんころ餅とアスパラガスの和物を味わい、アイロンを掛けました。
そして雨傘を持って愛するアメンボと逢引きしに出掛けます。
案外アリンコは甘えん坊なのでした。
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