2025年4月24日木曜日

暮らしの140字小説2

四月某日、晴。夕方、見知らぬ詩集を本棚に見つける。古そうな本だ。パラパラと捲り、一編を声に出して読み始める。藁半紙を丸めるようなガサガサした声。そういえば今日は誰とも話していない。誰かに聞かせるわけでなし。掠れ声のまま読み上げる。古い紙に刷られた誰かの詩に、掠れた声で色を付ける。(140字)