超短編
四月某日、曇。起き抜けに紅茶を淹れる。棚には二種類の白いティーカップが並んでいる。温かい白のものと、冷たい白のものだ。久しぶりに冷たい白に手を伸ばす。この部屋に射し込む光には温かな白のティーカップが似合う。だが薄暗い春の朝は冷たい白のティーカップから立ち昇る湯気の中で過ごしたい。(140字)