2011年12月15日木曜日

狼に育てられた子供

アムラとカムラの母は狼である。二人は、狼の乳で育てられたのだ。


狼語と人語を操るアムラとカムラは、母の言葉を人語に訳した。


「私は最後の狼である」


人々は驚いた。


「もう仲間はひとりもいないのですか」


町長さんの言葉をカムラが訳して母に訊ねた。


「はい。私はほうぼう探しました。でも、狼と出会うことはできませんでした」


アムラは、泣きながら通訳した。


「けれど、さびしくはありません」


カムラは、きっぱりと通訳した。


そして二人と母は、月に向かって、吠えた。


その咆哮は、世界中で聞くことができたという。