2008年9月8日月曜日

嘘つきカーナビ

樹海のペンションの住所を入力すると
「その住所は存在しません」
とカーナビは言った。画面には正しく地図が出ているのに。私のため息を聞いたかのように、カーナビは続ける。
「一番近い国道までナビゲーションします」
カーナビの言われるままに車を走らせた。標識を確認する気もなく、周りの景色が変わるのにも気付かなかった。身体も頭も重たくて、カーナビの声に時折ハッとする。
「到着しました」
と言われて顔をあげると、そこは海岸だった。樹海は?
「あなたは樹の海よりも水の海のほうが似合います」
それだけ言うと、画面は真っ暗になった。