2008年9月15日月曜日

いつか見た夢

「夢でなら、いつだって逢っているじゃないか。こうして」
と、きみは言った。
きみに逢える夢は、いつも岩だらけで色のない場所。花や蝶を愛でることも、水辺で遊ぶこともできない。強い風が吹く岩場で足の裏の痛みに耐え、立ち尽くしたまま大声で言葉を交わす。
「だから!ぼくの夢は、夢の中だけでは終わらないことなの!」
ここじゃ手も繋げない。そんなのはイヤだ。
言おうとしたところで、目が覚めた。ポロポロと涙が溢れる。
そうだ、夢は叶ったんだ。きみの背中に顔を埋める。まだまだ涙は溢れ出て、ぼくの涙はどんどんきみの背中を転がり落ちる。シーツの色が変わる。
きみはまだ眠っている。もう夢の中にぼくはいないはずなのに。
ぼくは花瓶に花を絶やさない。ここはもう夢じゃないから。