2005年8月8日月曜日

バビムン遺跡

その奇岩地帯に遺跡が発見されたのは、つい半月前のことである。
ツルツルしたドーム型の岩がそびえ立つその一帯に、人間が都市を作っていたとは誰も想像していなかった。
なにしろ岩の上は滑りやすく、岩の下は狭すぎて
珍しい景色にも関わらず人々は近寄ろうとしないのだ。
年に一度か二度、冒険家が転落死するニュースで
人々は奇岩地帯があったことを思い出す。

遺跡は「パビムン」と名付けられた。
都市は、岩の内部に作られていた。
奇岩はビルディングだった!と新聞は見出しに付けた。
細い螺旋階段の回りに部屋が作られていた。
岩と岩を結ぶ通路はあちこちにあるが
岩への出入口は一カ所、それも屈んで入るような小さいものしか見つかっていない。
おそらく一生のほとんどを岩の中で過ごしたのだろう。
羊もビルディングの中で暮らしていたらしい。
パビムンの人々の生活が解明されるのはこれからだ。
最近、パビムン遺跡を真似た丸い屋根を付けた建物が人気らしい。
ビルディングやマンション、もちろん名前は「パビムン」である。