2003年1月3日金曜日

赤鉛筆の由来

赤鉛筆は言った。
「ねぇオイラの身の上話、聞きたくない?」
私は面食らった。
赤鉛筆の一人称が「オイラ」なのは予想外だったし、手の中から話し掛けられたら誰でも驚く。
「オイラはさぁ、マルバツ付けるのは本職じゃねぇんだよぉ」
赤鉛筆の喋りは湿っぽい。
「女の子が夕焼け空の下で言った。『私、夕焼けの絵が書きたいの』
それを聞いたお天道様が、茜に染まった雲を集めてオイラを作りなすったのさ。泣ける話だぜ、くぅ」

お月さまにこの顛末を話すとなぜか文句タラタラだった。
赤鉛筆の由来なんて私はどうでもいいのだが。