2003年1月25日土曜日

闇職人

闇職人はずいぶん年寄りだが腕のいい職人だ。
だが、近ごろやたらと愚痴っぽい。年をとったからではない。
愚痴っぽくなっているのは月も同じなのだ。
「なんと言ってもエレキがいけねぇ。なぁお月さん。
オレがいくら腕を奮っても追い付かねえ」
「そうですよ。こんなに街が明るいようでは、私の美しさや有り難みがなくなってしまう」
「実際、最近は月を見上げる人なんかあんまりいねぇじゃねぇか」
「まったく。私を頼りに夜道を歩く人なんていませんよ」
「エレキの野郎、なんとかなんねぇかなぁ」
「私を侮辱してますよ、エレキは」

お月さんはかなり自分が好きなようだ。