2005年12月19日月曜日

白い着物

早朝の天気雨はキツネが出るぞ、とすれ違いざまに老人が言った。
「は?」
振り返るとそこに老人の姿はなく、若い女がいた。
その白い着物が花嫁衣装だと気付くのに、ほんの少し間がかかった。
この子はどこぞの野郎と結婚するのだ、と理解しつつ僕は迷わず女の衿に手を入れ「死装束でなくてよかった」と呟いていた。
その途端、雨と女は消えていた。
手のひらには乳房の感触と金色の毛が残った。