2005年12月29日木曜日

望みの雨

「こちらへどうぞ」
と扉の前に案内された。
町の真ん中に扉だけポツンと。だが、あるべくしてある、というようなたたずまい。
私はちょっと雨に当たりたかった。
頭を冷やすためのような気もするし、アンニュイな気分に浸りたいからかもしれない。
どちらにせよ、そんな気分になるのが馬鹿馬鹿しいような天気だ。
太陽はひたすらに照り、空はどこまでも青い。
扉を開けると、しとしとと雨が降っていた。
周りの景色は何も変わらない。ただ一歩前に出たかのように。
しばらく辺りを歩いてみた。どんよりとした雲、沈んだ町の様子、なにもかも希望通りの雨。
気付くと扉は失くなっていたが、私の心は晴れ晴れしい。