2005年10月28日金曜日

操り人間と発条ネコその13

安田が歩いていると目の前に海が現れた。
安田は迷わず海に入る。彼は後戻りはしないのだ。
海の中に入るとすぐに安田の細く糸の付いた手足は絡まり、その格好のままぷかりと浮いた。
「こうして浮いたまま寝ていれば、目が覚めるころには向こう岸に着くだろう」
発条ネコのキンキュウジタイは生まれて初めて海を見て溜息をついた。
発条が錆びる。