2005年10月14日金曜日

操り人間と発条ネコその2

安田はしばしば自分の手足についた糸が絡まって、甚だしい格好になる。
たった今、安田は段差に躓いた。
安田は周囲の人に助けを求める。
はじめはひとりか二人だったのが次第に人数が増え、知恵の輪に興じるがごとく色めきと苛立ちで安田に取付く。
安田は身体を玩ばれながら、詫びの言葉を繰り返す。
「まことにお手数をおかけまして……」
その表現は正しい。