2005年6月2日木曜日

月夜のプロージット

「乾杯」
緑色の瓶をぶつけ合う。
少女と月は、公園のベンチに腰掛けて、アップルタイザーを飲んでいた。
満月がジャングルジムを照らす。
少女は月を見上げていた。隣の男に出会う前と変わらない眼差しで。
月は少女を見ていた。この子はいつまでこうして月を眺めてくれるだろうか、と。
「ねぇ、ナンナル」
「なんだ?」
空になった瓶を見せて笑う。
「もう一本飲もう」
「お腹壊すぞ」
だって月がきれいだから、と呟いた声を、月は聞かなかったことにする。