2003年5月13日火曜日

星をひろった話

「少年よ、星を拾いに行くぞ」
と言われて着いた所は廃ビルだった。
黴臭い階段を上がり、屋上に出る。そこにはフカフカした物が床に積もっていて砂漠みたいだ。
「たくさん拾ってこの瓶に入れるんだ。でも適当はいけない。よく見て好きなのを選びな」
これが星か……冷たくて小さいけれど色も形さまざま。好きなのを選んで拾うのはなかなか大仕事だ。
ようやく瓶がいっぱいになった。
「星を一つ空に投げれば私に会えるよ。合言葉は……『ラングレヌス』」
ヒュンと口笛を吹くとコウモリが飛んできた。
小父さんは黒い傘を差して月へ帰った。