超短編
おじいさんの傘は、半分青くて、半分赤い。几帳面なおじいさんはきちんと青い方を右側にして傘を差す。
雨雲はそれが気になって、ついついおじいさんを追いかけてしまうから、おじいさんはいつも半分雨で、半分晴れ。
#twnvday 5月14日ついのべの日 お題「ボーダーライン(境界)」
その森は広大な鉱脈で、多くの貴重な鉱物が採れる。
もっとも多く採れるのは銀だが、それを採ることができるのは、選ばれたムササビだけだ。
この森の銀は、樹々の枝先から採れるのだった。冬の夜になると、月光に照らされて森は輝く。
選ばれしムササビは人間にリュックサックを作らせ、輝く枝先を目指して樹間を飛び回、銀を集める。
銀が詰めこまれたリュックサックは殊更に輝き、最盛期には流星をも圧倒する素早さでムササビたちは飛び回るのだ。
庭の落ち葉を積み上げて積み上げて、生涯を掛け腐葉土山を作り続けた男の死後、頂上に向日葵が生える。
僅かながらの小銭を握りしめて出て行ったままの私をそろそろ迎えに行かなくちゃならないけれど、七歳の私が何が欲しかったのか、もう思い出せない。今なら、買ってあげられるはずなのに。