2019年11月29日金曜日

迫害を禁ず。しかし

「そんな危ない目に合わせるわけにはいけません」
と言うのと
「父さん、ちょっと待ってください」
と若者が言ったのは、ほとんど同時だった。
「消えず見えずインクを読むための装置を、借りに行きましょう」
手続きをして、この旅の人のIDを照会しましょう、と。

主治医は唸った。それはそれで、面倒が多いことであると察せられた。消えず見えずインクの旅の者と深く関わることは、それだけ危ないことなのだ。

「消えず見えずインクの旅の人を案内したり、もてなすこと自体は問題ありません。むしろ、迫害したり邪険に扱うようなことは禁じられています。ただ、やはり、何日も一緒に過ごしたり家に泊めたりするのは、あまり勧められたことではないとされています。一緒に過ごすことで、手紙を書きたくなると言われているのです」