2019年10月22日火曜日

これが罰か

身体は疲れていたが、寝付けなかった。
まだ完全には薬が効いていないようで、ふかふかのはずの布団が、なんとなくヌルヌルするのもいけなかった。

青い鳥は鳥籠に居て、鳥らしくしていた。だが時折、不明瞭な寝言を言う。
「ぴえずみえずインクのピッケを持つ者キュィ……」
青い鳥はどこから来たのだろう。名前はあるのだろうか。
赤い鳥はどこから来て、どこへ行ったのだろう。長く一緒に居たのに、何もしてやれなかった。いや、これはきっと鳥の役目だから、礼とか感謝などは不要なのかもしれない。だが、心は休まらない。どの町のどの人にも、そして鳥たちにも、一方的に親切にしてもらうばかりで、何もできていない気がした。罪人なのだから、仕方がない? 罪人は礼も言えないのか!

酷く自罰的な気分だ。旅そのものよりも、堪えた。これが本当の罰のような気さえする。
誰でもいい。手紙を書きたかった。「お元気ですか」「いつもありがとう」と。

部屋に、小さな文机があることに気がついた。それは、美しい天鵞絨が掛けられ、鳥籠を載せるための台のふりをしている。