2019年10月28日月曜日

鳥の警告

起き上がり、鳥籠の下の天鵞絨をめくってみた。
美しいマホガニーの文机だった。
ああ、ここで便箋を広げ、万年筆を走らせ、切手を舐めることができればどんなにいいだろう。
ほとんど意識なく、鳥籠を下ろそうとした。我に返ったのは、青い鳥が聞いたことのない声で鳴いたからだ。
「ギュイ! ギュイ! ギュイ!」
警告音だった。慌てて鳥籠から手を離すと、寝言を言った。
「ぴえずみえずインクのピッケを持つ者キュィ……」

ベッドに戻り、横になった。そういえば、天鵞絨もマホガニーも、触り心地におかしなところはなかった。
「薬が効いたのだ」
小さな声で言うと、途端に眠気が襲ってきた。
起きたら、きっとまた文机を触ってしまうだろう。触りたい。
安堵と放心の眠気に墜落する。