2019年1月22日火曜日

奇なる音声

吹いているはずのメロディーではない音がする。
おおよそ口笛とは思えない金属を擦ったような、細く掠れた音。 
そういえば、口笛だけではない。石畳の通りを歩くこの足は、確かに硬い石を感じているのに、靴音はポップコーンが弾けているようだ。
振り向いて、出てきた噴水を見る。知っている水音ではない。ええっとこれは、そうだ、ティンパニーに似ている。

この街は音が違うのだと気が付いた途端に、明るく爽やかに見えていた街の様子が歪んでいった。
 「助けてくれ、頭が痛い!」
絞り出した声は、古いラジオから聞こえるようだった。
 「こちらに御座します、消えず見えずインクの旅券を持つ旅のお方は、頭痛を訴えている!」
 赤い鳥の声だけ、前の街よりも美しい。