2010年12月9日木曜日

かたつむりの旋律

僕の耳は聞こえすぎる。防音ヘッドホンを片時も外すことができないくらいに。
だから、囁き声の美しい子としか、友達になれない。

小さなメロディが聞こえたような気がしたのだ。
もっとよく聴きたくて、思い切って防音ヘッドホンを外した。轟音を掻き分け、細い絹糸のような、あのメロディを探す。
そのメロディは、紫陽花から聞こえていた。

「つまり、紫陽花の葉は、オルゴールのシリンダーみたいなもんさね」
と、かたつむりは言う。
「じゃあ、キミの殻をリズミカルに叩くドラマーは誰?」
「はて……? そんな音か聴こえるのかい?」
昨日の雨の残り香の仕業かもしれない。
「また聴かせてね」
ヘッドホンをしていないせいで、頭が痛くなり始めていた。帰らなくちゃ。
「おぅ、いつでもおいで」
帰り道、ちょっとだけヘッドホンが邪魔に感じた。

脳内亭さんの心臓タイトル案の案をお借りしました。

拍手コメント、ありがとうございます、雲梯さん(……)
ほんとだ、ひらがな……多そうで、多くないような?(笑)
心地よい漢字ひらがなバランスは、人によって違うのでしょうねぇ。難しいな。