2010年10月25日月曜日

月光密造者

星が誘拐された。星なんぞかどわかして、どうしようというのだろう。
あれは「密造者」の手だったと、無事だった星たちが呟いていた。
何を密造するんだ。
「決まってる、月光だ」
でも、星の光では月光は作れない。お日さまの光をお月さまが嗅ぐから、月光になる。
「そう、所詮、偽物さ」
偽物の月光で何を?
「高く売るんだよ、あいつらに。もうすぐハロウィンだから」
あいつら? ハロウィン?
「オバケ」
質問に答えてくれた声はそれきり聞こえなくなった。
翌日、誘拐された星は、机に戻っていた。