2009年4月11日土曜日

だから僕は海へ入る

海水が荒れた肌に染みる。痛い。
痒いのと痛いのと、一体どちらが楽なのかと考える。
答えはない。

君の舌でざりざりと舐めてくれればきっと心地よいだろう。
けれど、君はたぶん鮫肌みたいな舌の持ち主ではない。残念だけれど、きっと擽ったくて、笑いこけて、もっと痒くなると思う。
そのうち僕を舐めるのになんか飽きちゃって、プイとどこかに行ってしまうだろう。
そうじゃなかったら、舐められているうちに欲情して、絡み合ってしまうかもしれない。
海水は、飽きてどこかに行ってしまうこともない。僕は海水に欲情することもないはずだ。
だからこのまま海水に沈んでしまうのが一番いいような気がしてきた。

(281字)